2014-10-04

インターン報告+Parsons授業メソッド②/グラフィックデザイン学科専攻のNIREさん(VIP2013年卒)

また話の途中で更新が遅くなってしまいすいません。
3セメ目がはじまって1カ月ちょい。授業は5コマあって火・水・木の週3です。

そして9月の頭からインターンシップをはじめました。月・金に8時間ずつ。
今は美術館の大規模なExhibitionのカタログ(300ページほどある大きなもの)のレイアウトを6割くらい、けっこうガッツリやらせてもらっています。比較的新しい会社で、6人だけの小さな、そしてネイティブだけの職場ですが、「どう効率的に仕事をするか」をプロジェクトを始める段階でとても考えて、サクサク仕事しているので、それにとっても刺激を受けました。
月曜日の朝にミーティングをして、全員が、優先順位を考えながらこの一週間毎日どのプロジェクトに何時間時間をかけるかを、さっさと決めていくんです。

学校ではやっぱり「おもしろいものをつくる」ことに比重がいってしまいがちなんですが、「生きていくために仕事としてするデザイン」という面は現実であり、そこでは効率・スピード・正確さがもっと大事だということを身に刷り込んでるかんじです。今セメは効率重視です。

オフィスはトライベッカ。ランチはみんなで同じとこからデリバリーして全員で会議室で食べるというフレンドリーな雰囲気です。










本当はインターンは10月とか11月くらいから始めたいと思っていたのですが、8月末にprofessorからintern情報のメールが来て、内容が魅力的だった(+時給も良かった)し、先生からの情報には基本反応しておこうと思っているので、はじめてインターンに応募してみたら、やはり前職で編集をしてたのも大きかったようで採用してもらえました。インターン探しはやっぱり知り合い伝いが一番いい気がします。


ほかにもParsonsAASグラフィックとLVMH(ルイヴィトン等のグループ)の共同プロジェクトというのがあり、Professorの推薦により10人ほど選ばれた生徒が候補者として送り込まれるのですが、それに参加するなど、授業だけじゃない活動みたいなものも増えてきています。先生も最後のセメスターだとわかってくれているのでチャンスをくれようとしてくれていて、サポートが手厚い…ありがたくて感動します。


さて前回の続きでParsonsの授業で「これはよくできたメソッドだったなあ」と思ったものの第二弾を書きます。ちょうど今私がやっているインターンにも役立っているPublication Designの授業です。



Publication Design
雑誌・本のデザイン。授業はクリティークが中心で、皆で机を合わせて自分の作品を見せ合いながらコメントをしていきます。18人もいる大きいクラスですが、同じ素材で同じ内容の本をつくっていてもこうも違うものができるのか…と毎度驚いていました。すごいのは、各プロジェクトが前後のプロジェクトと関連しているところ。1歩ずつ階段を上るかのように組み立てられている授業は、まさにmethodというかんじ。


Project① Photo Narrative /2週間
指定された日曜版のNewYork Timesを買い、そこに使われている写真のみを使い、12ページの小冊子をつくる。文字なし。写真だけで語る練習です。
日曜版NewYork Timesは非常に量が多くて写真も大量。何度も見返し、その中の写真に何か共通のテーマを見つけれるか、冊子としてストーリーを展開させていけるか、なかなか難しい。コピー・着色・コラージュなどしてもOK。


私のテーマは「枠にとどまっていれない人間」。
このプロジェクトは本や雑誌の「ページをめくることで語る」という特性の利点を認識させるのにとても効果的。
写真のチョイスにも個性がでます。






Project② Exhibition Booklet  / 3週間
今度は逆に文字のみの8ページブックレット。記事内容はintroductionと「First Thing first manufesto」という同じタイトルの記事1964年版と2000年版。記事の内容を読み込み、どうレイアウトすると読みやすいか、どういうテンション&語り口調か、語る相手は誰か等考えながらタイポ・色など選んでいきます。まず、よく理解することが大事。

私のアイデアはシンプルで、1964年と2000年版の記事を比べながら読むとおもしろいと思ったので左頁に64年、右頁に00年を並べました。案外こういう解釈をしている人はいなかったです。

実際の仕事の場合、予算を押さえるために2色刷りにすることが多いと聞いたので、その練習を兼ね、色を絞ってみました。






Project③ Magazine  / 5週間
12ページの雑誌。まずは全てのページに共通するグリッドを作るところからはじまります。これもまたイメージは全てProject①で使ったNewYork Timesからのみ使用。Project②の記事も使用。特集記事4ページは「People as Pixcels」という原稿が与えられます。これもやはり内容を読み込みそれにどんなvoiceを持たせるか、雑誌にどんなpersonalityを持たせるかを熟考するところからスタートです。内容をきちんと読み理解することは人の話を聞くことと同じで、その内容にあった姿形を持たせてあげられる。似合う服を着せてあげるのと同じですね。

















ニュースのページ(左下)と特集ページ(右下)の雰囲気を変えつつも、どこかに統一感を持たせねばなりません。タイポフェイス、タイトルの入れ方、文字フレームの入れ方を揃える等、無限のやり方があります。表紙やcontentsのページは特集ページの方に合わせて。



Project④ BOOK / 4週間
18ページの本。内容はProject③の特集記事をそのまま受け継ぎます。つまり2カ月くらいこの原稿と向き合って本を作っていくことになります。本を作り始める段階ですでにある程度自分の中にこのcontentsを消化しているので、どういう姿を与えるか、しっかり考えることが出来ます。「People as Pixcels」という現代社会のアイデンティティの喪失に関する内容だったのですが、私はAKB48をvisual themeに使い(テーマに合ってると思ったので)、CD的な装丁の本をつくりました。こんな変なの作っている人はいなかったので好評でした笑。



同じコンテンツやマテリアルと長期間かけて付き合ったこの授業で学んだのは、個性というのは実はoutputよりinput時に発動するのだということです。そしてデザインすることとは「どのように内容を理解するか・物事を受け止めるか」に全てがかかっているということ。内容に寄り添うことからしか進めないこと。咀嚼して自分の中に取り入れないことにはよいoutputはできないということ。
クリエイティブな人はものを作るのが上手な人というより、理解の深い人・おもしろい受け取り方をする人、受信能力の高い人、アンテナの本数が多い人、だということ。


これは結構おもしろい発見で、やっぱりみんな作るものは似てくるけど、それは創作のクセなんじゃなくて思考のクセなんですよね。inputしたものは頭の中ですぐに何か自分の中にある思考の断片と結びつきたがる、その癖がその人のクリエイティビティなんだなあと。だから色んなものの見方ができるようになると良いな。



もうNYに来て1年4カ月経って、Parsonsもあと3カ月で終わります。その間に日本では25人くらいの友達が結婚して10人くらいの友達が親になりました。
海外にいると日本にいるはずの時間が空白になっているわけで、でも日本との繋がりもはっきりあって、二重の時間軸を生きているような不思議な気がします。村上春樹の「向こう側」と「こっち側」みたいな。NYに来てなかった場合に生きていたはずの時間はいまもどこかに残像としてある。

最近はNYの生活が日常になってしまい特別感もなくなって忙しいことに文句を言いたくなったり日本に帰ってゆっくりしたい(できるはずないけど)と思ったりする瞬間もあるんですが、週に2・3回は今ここにいるありがたさを心底実感して、40年後くらいに訪れてもこの街は変わっていなくて、今のこの時間のことを思い出すんだろうなあと、思います。一瞬一瞬を生きねば。NYの秋は美しいです。



2014-08-21

Parsons流・授業メソッド①/グラフィックデザイン学科専攻のNIREさん(VIP2013年卒)

もうすぐ私にとってのファイナルセメスターがはじまります。
グラフィックデザインの勉強をはじめてまだ1年(2seme)しか経っていないわけですが、案外焦りはなく、あとは社会に出てたくさん実践していくうちにプロになっていくしかないな、という気持ちになっています。
デザインの大事な基礎は、すでに先生から贈り物として頂いたような、そういう感覚を持っています。これからはその種子に大切に水をやり育てつつ、時間をかけて花を咲かせてくのだと思います。

2セメ目の私の第一の目標はself controlでした。1セメ目で本当にしんどい思いをしたので、「ちゃんと寝る。食べる。締め切りから逆算して優先順位をつけて作っていく」というものです。優先順位を決めるのは本当に大事で、これをしないとどこかで絶対間に合わないことになるので、常に時間配分は考えていました。そして「まあ、そこまでしなくてもいっか」と沸点を超えないようにしていました。当たり前のことなのですが、私はかなりやり過ぎるタイプなので、これが大変だったんです…。先生の意図をよく読み、ここまではやっていく、これ以上は不要だろう、と毎週コンスタントに進めていくことで、そこまでしんどい思いはせずにできるようになりました(ただ1回でもサボると相当大変)。
※ちなみに私の場合1セメ、2セメ目とも1コマだけ授業休んでしまいました。GD1、GD2という週2回ある授業だったので、さして響かず大丈夫でしたが。週1の授業は3回休むとfailすると言われていますが実際はどうなのでしょう…。


2セメ目を振り返ると、本当によく出来たメソッドだったなあと感心する授業がいくつかありました。先生自身がデザイナーとして一番大事にしていることを約15回の授業全てを使って、ステップを踏みながら教えてくれた気がします。
どういう風に授業が進められているのか、具体的に書きたいと思います。


History of Graphic Design
授業の前半1時間半は講義、後半1時間は作品のクリティーク(先生にもよります)。講義系の授業は英語に慣れてからの方がいいかと思い、2セメ目にしました。講義では先生が用意したスライドを見せつつそのデザインのどこがおもしろいか彼独自(本当に独特!)の目線で熱く語ります。毎週リーディングHWがでますが、主たる宿題はプロジェクトについて。

私はこの授業では審美眼が相当養われたと思っています。レクチャーでもプロジェクトでも徹底的に「自分はこのデザインはおもしろいと思う、なぜなら〜」と自分で語ることをさせられたおかげで、視覚的に何がおもしろいかに意識的になれました。良いデザイナーになるには良い鑑賞者にならねばいけません。また世界の中心を自負しているアメリカでHistory of Graphic Designを学ぶのは、日本で学ぶよりずっと世界が広がったと思います。



Project① lectureのポスター /5週間
各自割り当てられたArt movementの中からおもしろいと思うポスターを1枚選び、何がそのデザインをgreatにしているか自分なりに解析。その核心部分を使って、そのArt movementに関する講義のポスターをつくります。
私が割り当てられたのはウィーン分離派。


選んだのは左のポスター。分析するために見るだけじゃ足りないと感じsketch してanalyze。雲の隙間の黒い部分の間隔によって表されている、「前に向かってくる3Dの空間」がこのポスターをgreatたらしめている"核"だと決め創作開始。この核が取り出せるかどうかが勝負。あとはprocessに沿うだけです。

どうシンプルに「前に向かってくる空間」を表せるかを実験しながら進めます。無駄なものは削ぎ落として抽象化を繰り返し、約4週間でできあがり。先生が日本語で作ることをお勧めしてくれたので、こうなりました。この作品でParsons festivalという展示に参加。



Project② シリーズ物 /6週間
各自ランダムに与えられたデザイナーの作品をよく見て、そのデザイナーをgreatたらしめている核を取りだす(ここはProject①とほぼ同じ)。それを使って、何でもいいからシリーズものを作る。ブックカバー、お菓子のパッケージ、ポスターシリーズ等。
私のデザイナーはオランダのPiet Zwart。



1950年代に活躍した彼のデザインはとてもメカニカルなsoundsで、グリットに沿うことでできたリズムがユニーク!この人工的・機械的な雰囲気とあえて一番遠いもののデザインにしようと思い、羊羹のパッケージにすることにしました。
何もない所からこのデザインを作り出すのは難しい。グリットと始めなければと思い、first stepのプロセスを変えてみました。グリットが書いてある紙に、紙を丸や四角にカットし貼っていきます。このプロセス自体が「核」になりました。プロセスを発明できたのは初で、これができると自分のテイストを超えた領域に行き着ける感じがします。
このやり方で試行錯誤繰り返し、4つのフレーバーのパッケージを、自らシルクスクリーンで和紙にプリントしました。
シリーズものは、どういう風に一貫性を持たせるかがkey。色をうまく使えば統一感が出ます。今回はオレンジを統一して、それぞれ+1色。
Piet Zwart感もありつつ、オリジナルなデザインができ、Parsonsのプロセスを重視したデザインが体現できた気がします。






Project③ Event/5週間
自分のhometownで行われるEventの関連品(ポスターやチケットなど)を3つ以上作る。今回は自分で好きなデザイナーを選べます。その人の「核」となる部分使うのは今まで同様。
私は大阪の伝統芸能・文楽のポスターを、しかも人形の顔をmain visualとして使いたいという所からスタートでした。
自分でデザイナーを選ぶとなると逆に迷って大変だったのですが(誰を使うとうまく行くのか決めるのに時間がかかった)、結局Ladislav Sutnarにしました。


Sutnarの写真を使ったデザインは、人の立体感vsグラフィックの平面感がconflictしてるのがおもしろいところ。どういう空間になっているんだ?と「?」が沸きます。

ヒストリーの先生がよく引用していたPaul Randの言葉に"Design is a conflict between form and content"とありました。"conflict"という言葉を使うのがおもしろいなあと印象深いです。
 
結局こういう風になりました。色の部分が舞台空間を表しており、端の白の部分が舞台裏。舞台裏から舞台にでてきた瞬間、人形が生きた役者になる瞬間を表しました。立体感vs平面の不思議さを出せた…変なデザインができあがりました笑。



ラッキーなことにHistoryの先生とはとても相性がよく、彼がどういうものをおもしろいと思うかが理解できるようになりました。やっぱり一番大事なのはいい先生を選ぶことです。クラスを取る時には先生の作品を見てどの人に教わりたいか見定めが必要。ネットで検索して作品を見ましょう!よい先生だと10倍くらい学べます。


余談ですが最後の授業は先生がbook cover design をしているpenguin booksの会議室で行われました。私が勤めてた出版社はモノが多いし人は夜中まで残業しているかんじだったのですが(日本は大体そうだと思う)、penguinは夜7時半にはもう誰もおらず、オフィスも超片付いていて、アメリカのエリート職場環境にカルチャーショックを受けました…。アメリカは非常にlazyな人が多い反面(店のレジ・交通機関・学校の事務・郵便など)、エリート意識が高い人達は自己管理能力が半端なく高いです。Parsonsの教授達もものすごくキチンとした人が多い。メールは即返信、健康管理完璧、家族との時間を大切にしている…など、「こうあるべき」という理性で成り立っているのです(最近読んだ本には「アメリカは単なる戦争や権力ではなく、理性を基礎として築かれた世界で最初の国」とありましたが、まさにそのかんじ)。レジ打ちの人たちとのその差に、この国の問題点?をなんとなく感じたりして…。


長くなったので、一旦切って次のブログで他の授業内容も書きます。




2014-07-31

NYで学ぶということ/中間まとめ/グラフィックデザイン学科専攻のNIREさん(VIP2013年卒)

お久しぶりです。
夏休み、1カ月強、日本に帰国していました。
日本食が恋しかったのも大いにあるのですが笑、日本のデザイン・美意識を再確認したいという気持ちが募っていたので、1年ぶりに。
というのも、私の作品は、そんなつもりは全然なくても「すごく日本っぽい!」と言われることが多く、自分が思った以上に日本人のセンスを持っているんだな、と感じていたからです。


日本の地下鉄。帰って最初の感想は「うわあ、アジア人しかいない…」「みんな服の色が地味」「行儀がいい」というものでした。

NYの地下鉄は汚いし、まず時刻表すらないので、日本の便利さを実感します。
当たり前のものが本当にありがたいものだと気付きます。






日本で、NYでの1年の経験をあたらめて振り返り、本当に留学して良かったなあと実感したのですが、その理由はNYという土地のパワーに拠るところが大きいように感じます。

そこで今回はNYで学ぶ、ということをまとめてみます。

私はvantanに入る前、編集者として5年間仕事をしていましたが、将来はフリーランスになりたくてキャリアについて考えている時期でした。
日本で大学院に行く?なども選択肢にあったのですが、今思うのは、とにかく日本から出てよかった、ということ。日本にいたらどんな状況になっても「右も左もわからない」なんてことはない。仕事もそこそこなんでも出来るようになってきて、日常に飽きてきていた。未知に飛び込み、世界を広げたかったのです。
それには、世界中のどこよりNYがぴったりだったんじゃないかと思います。













世界中の人と出会える街
NYは世界で一番「集まっては去って行く」場所だと思うんです。
マンハッタンは、磁石のように世界中から人を引き寄せる不思議な力があるようです。
だから、よくこの人とこのタイミングで出会えたな、と思う奇跡がたくさん起きます。
留学生が多いので、韓国人とも中国人ともブラジル人ともカナダ人ともロシア人とも、NYで友達になれる。
これは他のところに留学するのとは比にならないバラエティの豊かさです。
日本にいたら一生すれ違うことのない人と向いあって食事をし、その友人の母国までもを身近に感じ、いつかそこに行こうと未来を思い描く。そういう時空を超えられるpreciousな出会いが人生を輝かしくしてくれます。



 

ロンドンの大学に通っているロシア人のアリオナは去年1学期間だけパーソンズに留学。カラーセオリーのクラスが1つ一緒だっただけの縁だけど、ロンドンに帰ったあともNY再訪時に連絡をくれ再会。
このあと5年後にロンドンで再会!とか10年後にモスクワで再会!になるかもしれない出会い、未来が楽しみになります。

みんな目的があってNYに来ている人達ばかりなので、小さな出会いも大きくなっていきます。街が素敵というよりは、街に集まってくる人達との出会いがamazingです。


日本とは違う教育・主体的であることの大事さ
教育の仕方についても、日本とは違うWesternの教育を体験できたのはおもしろい経験でした。パーソンズでいうと、プロセスを大事にするなど、特徴は様々にあるのですが、たぶん西欧の教育全体として日本と大きく違うのは「中心にある自分」への意識なんじゃないかと。授業では正しい正しくないではなく「君はどう思うの?」ということをよく聞かれます。日本人は間違ったことを言いたくないので黙ってしまいがちなんですが、「自分がどう感じるか」でいいのです。

授業で高校生とコラボをするということで高校へ行ったとき、授業でシェイクスピアのハムレットを扱っていたのですが、授業の名前が「国語」とかじゃなく「文学と私」みたいな名前でびっくりしました。内容もシェイクスピアはどういう意図で書いたのか、とかそういうことではなく「君はこの物語の中で誰に近い?」というようなことを話していていました。
ヒストリーの先生がよく「Use your eyes!」と言ってたのですが、自分の作品も「これで本当にいいのかな?」とか、名作といわれるデザインも「なぜこれがすばらいいのかな?」と自分で答えを出して行くうちに自分のオリジナリティが確立されていく。ユニークであることを大事にする文化の中で学ぶのは、自分の視点や強み・意思(将来どういうことをしたいか)を具体的に考える時にとてもいいと思います。

あと先生の立場が違います。もちろん生徒とある程度距離をもち威厳を大切にするいかにもProfessorという人もいますが、もっと距離の近い、フレンドリーな先生が多いです。



私のメンター・トム先生が「授業がおもしろくないと思ったら出て行っていい。君にとっておもしろいものを追求していくのが学ぶということだよ」と言っていたのは印象的でした。



学ぶという行為が受動的ではなく、主体的に意志を持ってすることとされています。



出る杭を引き上げてくれる素晴らしさもあります。みんなしっかり自分があるから、人と比べることが日本より少ない。その人の個性・才能を素直に讃える傾向がある気がします。

私は日本の教育の良さもあると思っているので、アメリカの方がいい!というつもりではないですが、長期スパンの「学ぶ」ということに対して寛大な部分がとても素敵だと思っています。(年齢も関係ないですし)


英語。わからないからいい
言語の壁は厚く、高いです。私にとっては特にスピーキングは今も大変で1年経ってもこんなもんかあ、と思います。でも案外わからないからいい、っていう部分もあるんだな、と気付きました。

言葉は難しいので、母国語でも意味不明だったり、全く真意が掴めない時ってあります。そういうとき、母国語だったら言葉の表面だけ捕らえてスルーしてしまいがちなんですが、英語だと輪をかけてわからないので、引っかかって後から何度も考えたりします。そうすると授業で先生が言っていたことでも、案外ネイティブの人達が聞き逃していた部分の真意がわかっていたりとか、そこでたとえ誤解したとしてもよく考えた分、どこかでいい結果に繋がったりします。咀嚼が大事です。

わからないと、印象にのこるんですよね。そしてその効力は、すぐ分かる時より長続きする。不思議ですね。


外にいることで日本に興味がわく
想像に優しいでしょうが、一度日本のスタンダードを離れると、日本がどんなに変でおもしろいか、実感できます。アメリカ中心の地図でみると日本は本当に端っこにある小さな国なのに、結構な存在感です。

私が離れてから感じているのは、日本の土地は温かい。地熱があってポカポカしていて温泉みたい。人も温泉にはいってるように温かくて優しくて、至れり尽くせりで、ちょっとのぼせて、安心しきってる(平和)…といったかんじです(とてもいい意味です)。また湿度も独特です。気候だけでなく人間関係や文化も。うるおいにもなり得るし、カビも生えうる部分です。


さて最初に書いたように、今回の帰国には、日本の美学を確かめるという目的がありました。

NYで勉強していても、デザインにおいて日本はある種特権的な立場にいるなと感じます。スイスやオランダ、イタリアがデザイン大国として認識されてるのと同じように日本もとても美的に優れた国だと思われています。
History of Graphic Design の授業でも1週使って日本のデザインをやりました。こういう風に取り上げられているのはアジアでは日本のみです。

まとめてしまいますが、日本の美学について自分なりに得た答えは、日本の美の根本は、簡素・清潔・シンプル・機能的・素材を生かす(片付いている、手入れがされている、足るを知る、適材適所)ということだなあと。あと量より質、というのもあるかも(アメリカは完全に質より量だとおもう…)。


日本では九州や京都・奈良、東京に旅行し、寺社仏閣を回りました。その最中に読んでいたのがデザイナーの原研哉さんの書いた「日本のデザイン」という本。特に日本の簡素の美を表した例として出てきた銀閣寺にも行きました。とにかく掃除が行き届いていることからくる美が圧倒的。

お茶のお手前でも野草1本からその季節を想像させて場をつくる美意識。あえて足りない状態にしておく、とか、負を愛でる、といった美意識は他にないおもしろい部分だと思います。



また具体的に今現在の日本のグラフィックデザインでいうと、質感(和紙を使ったり、わざとラフな印刷にしたり、「ぬくもり」を感じさせる等)にこだわったものが多く、動的なものより静的なもの、ほっこり&ユルい(コレは本当に日本独特!)ものが多いと思いました。かなり独特の進化をとげています。


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うまく言い尽くせないのですが、NYに来て、知らない世界に接することで、世の中おもしろいことはいっぱいあるなあ!と数えきれないほどの好奇心を刺激され、これだけ知りたいことや行きたい場所があれば人生に飽きずに済みそう、と思えたのが、本当に本当によかったです。


今回は大きいテーマですこし漠然としましたが、NY生活の中間報告ということで!




2014-06-10

ファッション学科の内容は?/グラフィックデザイン学科専攻のNIREさん(VIP2013年卒)

5月末で私にとっての2セメ目・2014springセメスターが無事終わりました。NYに来てすでに1年。先日1年遅れてvantanから留学した友人と再会し、来たばかりで不安いっぱいだった時のことを思い出し、ずいぶん遠くへ来たなあと思いました。日本にいたときと時の流れ方が全く違って、違う時空軸に入ったような気持ちです。

さていつも私が在籍しているグラフィックデザイン学科の話を書いていますが、パーソンズといえばファッション!きっと読んでくれている人もファッション留学したい人も多いと思うので、今回はvantan経由でファッションデザイン学科に留学した2人に、話を聞いてみました。




左/増田さん
2011年大学(経営学部)卒業後、インターネット関連企業で営業をしながら2011-2012年vantan在籍。2012年秋にESLに入り、2014年秋からパーソンズAAS fashion design major在籍中。


右/山内さん
2011年大学(経営学部)卒業後、メーカーで営業を経験。2012-2013年vantan在籍。2013年夏にESLに入り、2014年秋からパーソンズAAS fashion design major在籍中。


−2セメ目終わりました。お疲れさまです。私は1セメ目より楽だったんだけど、どう?

増  そうだね。2セメ目は、どの課題がどれくらい時間がかかるかわかるようになったから、ある程度計画がたてれるようになったから楽になった感じがある。
山  やっぱり慣れてきて余裕がでてきたかな。






山内さんのファッションドローイング、上手〜!!







−何クレジット(単位)とってた?
増  1セメ目はインターンをしてたから12単位、2セメ目は15。次に8とって卒業予定。
山  僕は最初14単位、2セメ目が17。今夏の講習もとっていてそれが2単位、次の秋からはクラスは1個だけです。

−必修の授業ってどんなのがあるの?

山  コンストラクションっていう授業が1〜3まであって服作りの技術を広く学ぶかんじ(途中でメンズかウィメンズを選ぶ。ウィメンズのほうが主流だけど2人ともメンズを専攻している)。ソーイング、ドレーピング、パターンメイキング、ドローイングはそれぞれの技術。あとは、Photoshop、プロセスアンドスキルとか。マーケティング学科関連の授業も必須でとらなきゃいけないのがあります。…あとこの夏とっているポートフォリオも。ほとんどのクラスはスキルについてです。

−え!それはグラフィックとは大きく違うかも。グラフィックではデジタルレイアウトのクラスではスキルを学ぶけど、ほとんどの授業はクリティーク(先生が生徒の作品について講評)がメインで、授業中に作業したりスキルを学ぶことはあんまりない。もっと考え方とかプロセス重視。だから宿題が膨大。まあファッションは技術面が大きいもんね。

増  うん、とくにAASは短いから就職して使える技術を詰め込んでいる。セントマーチン(ロンドンのデザイン学校)とかはもっとコンセプチュアルなのかもしれないんだけど、今やっていることはスキル寄りかな。



増田さんが作ったシャツ・パンツ・ジャケット。
主にパソコンでデザインしている私にとってはゼロから手作業するというのはすごい作業量だなあと改めて感心。






−それは実際役立つよね!じゃあ作品のコンセプトとかテーマは自分で見つけるの?どういうものにインスピレーションを受けてるの?

増  僕は古い日本の写真。歴史オタクだから。特に明治時代の日本と西洋がミックスしたものが好きなんですよ。

−へー!すっごくおもしろい!!!

山  僕はライダーズとかロック。そこにイタリアンとかクラシックテイストも少し混ぜて新しいものがつくれたらなって。

−私の先生も、「何かグラフィックデザイン以外で夢中になれるものを持て」っていってたんだけど、やっぱり好きなものからインスピレーションって得られるもんね。
ところで生活のリズムはどんなんだった?

増  授業は月〜木の4日間だったけど、学校には毎日来てた。ファイナルの1ヶ月半前くらいからは毎日学校が閉まる(午前1時半)まで作業してたかな。授業が夕方とか夜の授業が多かったから、昼から動き始めて。



深夜までジャケットを制作していて疲れ果てている増田さん@5:00AM。ファイナル前約3週間は学校が24時間オープンになるので泊まりがけ。これがリアルなパーソンズ。









−同じく毎日来て閉まるまでいた笑。だから結構会ったよね。朝5時まで向いのパソコンで作業したし。私は全ての宿題に各6時間はかける計算でやってた。できないと10時間とかになっちゃうけど。
金土日は休みだったんなら、ファイナル以前は遊ぶ余裕はあった?

増  うん、できるだけ1日はそういう風にしてた。友達に会ったり。
山  僕も友達とショッピングにいったりですね。

−そういう息抜きは絶対大事。やりすぎると煮詰るから。
ところで来て1年以上(増田さんはもうすぐ2年)たつけど、英語に関してはどんなかんじ?私はまだまだだと感じることが多いんだけど。

増  それはね、体調次第、笑。正しい文法ですらすら話せるときもあれば、調子悪い時はぐちゃぐちゃになっちゃうときもある笑。

−それめっちゃわかる笑。先生がいっていることもすんなり入ってくる時もあれば、全然だめな時もあるし。でも2セメ目になってからは、だいぶわかるようになったかな。

山  やっぱ気持ちのゆとりですよね。
増  上達しているっていうか慣れてきたって感じな気がする。

−まだネイティブの子の早い会話はわかんないことも多いな。今でも何か英語習得に関することしている?

山  問題は単語な気がするんですよね。だからわかない単語は調べるとか。
増  勉強とは思わず、洋楽聞いたりネイティブとメールしたりすることかな。

−ふむふむ。2人は卒業したらどうする予定なの?

山  在学中からいくつかインターンの経験を積んで、そこからOPT(卒業後1年だけ就業ビザがもらえる)で興味ある仕事ができたらいいなと思っています。
増  うん。OPT使うし、その後もこっちで働きたいなと。こっちで実務経験を積んだ方がいいと思うんですよね。

−そうだね、こっちで働いてみたいよね!それは私たちみたいに一度社会人を経てから留学した人と、大学卒業してすぐに来た人との間で状況に差があると思うんだけど。さて、まとめに入るんだけど、NYの良さってどう思う?

増  僕はアメリカのカルチャーが元から好きで。スポーツ、映画、音楽とかエンタメ系は全部。だからすごく楽しい。いろんな人種・感性があふれてるからアイデアも湧く気がする。住み心地に関しては東京にはかなわないかもしれないけど笑。
山  多国籍だから刺激が多い。そこが1番。

−うん。世界中から人が集まってきているから、ここはクロスロードというか、いろんな人と出会えて、その出会いは一生の宝物のような気がする。私もそこが一番かな!


増田さん、山内さん、ありがとうございました。
やっぱり学科が違うと全然違う部分と、それでも同じ部分とがあっておもしろいです。
AASのコースはそれぞれの学科がすぐ仕事につけるように構成されていてすごくプラクティカルなんだなとあたらめて思いました。


次は自分の2セメ目の内容について詳しく書きます!

2014-03-28

1セメ目のファイナル(続)と2セメ目について/グラフィックデザイン学科専攻のNIREさん(VIP2013年卒)

また久しぶりになってしまいました。
1月末からspring semesterがはじまり、もう2カ月が経ち、(書いててビックリ)、現在、3月末はspring breakで1週間学校が休みです。
といっても毎日学校へ行ってHWをしています。でもそんな宿題恐怖症の人は稀です。
結構遠出してvacationを楽しんでいる人もいるみたいです!vantan生もマイアミとかロンドンとかカンクン(メキシコ)とか…。
うらやましい…なにせNY、まだ氷点下の日があったりするので心まで風邪を引いてしまいます…桜が恋しくてたまりません。。



そういえばこのセメスターからの大ニュースとして、14st,5Avにファッション学科のビルがグランドオープンしました★ 今までタイムズスクエア近くの校舎だったから会わなかったファッションの生徒達ともよく会うように! 食堂も、図書館も、トイレも!キレイ!快適!感涙!このグランドオープンの時期に生徒でいれてラッキーです。



前セメのファイナルの内容を、半分残していたので、そのことについて書いてから、今セメについても書きますね。

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◎ファイナルについて書いてなかったクラス

・デジタルレイアウト
このクラスは徹底的にスキルを学ぶ授業で、最初から最後までillustrator, photoshop, indesignの3つの機能を勉強していきます。私は完全にindesign初心者でしたが、だいぶ使えるようになりました!他のクラスで何かを作るにしても、誰もパソコンの技術的なことは教えてくれないので、このクラスは違うベクトルですごく重要。毎週宿題でその週に学んだスキルを実践します。ファイナルというか最後の大きめの宿題は、indesignで本(ポートフォリオぽいもの)をつくりました!


・カラーセオリー
カラーセオリーは前も書いた通りTom先生が鬼のように宿題を出すので(主にペイント系)、「普段が大変だから、ファイナルはしんどくならないように、何か自分の興味あることをやったらいいよ」、というスタンスでした。しかし私は先生に「君はいい生徒だから今までのよかった生徒の作品を見せてあげるよ〜(ニヤリ)」と部屋に呼ばれ、焚き付けられ、異常にがんばってしまったのでした…(白目)。私は日本で雑誌編集をしてたこともあり、NYに来てからアメリカの本の装丁の派手さにビックリしてたので、『本の装丁から考察するアメリカと日本の色の違い(+デザインの特徴)』というような大きなテーマをぶち上げ、何十時間もそれに費やしてしまいました(最後はプレゼン)…疲れましたが、とてもおもしろかった。(↓こんなスライドを20ページもつくってしまった、、)
日本とアメリカの色の差を調べてく中で、「知性の色って何色?」と疑問が湧き、大学のロゴマークを調べると、日本では青系が支配色なのに、アメリカでは赤が断然多く、「学ぶ」という行為の色が違う、ということがわかりました。アメリカでは学ぶことは血の色、Passionateなことなんです。…パイオニアスピリット。こうやってファイナルのテーマを自分で決めるのもその精神ですよね。



・タイポグラフィー
ファイナルはポスターを作りました。

ガチガチに決められたグリッドに完全に沿いながら、いかにクリエイティブなものをデザインできるか、がポイントでした。すごく苦労し(毎週徹夜…)、グリッドに沿わないといけない恐怖症は今も続いています(いい意味で)。たしかにgridに沿うことでできるcoolなデザインというのは結構多いということを実感。今までの自分にないデザインになりました。
タイポグラフィーは深すぎて、かなり長期に渡って勉強し続けないといけないと思います。多くのgraphic designってタイポグラフィーとイメージのたった2つの要素で成り立っているんですもんね。フォントをちょっと変えるだけで一気にダサくなったりかっこよくなったり。私に取ってタイポは今学期の課題でもあります。




初めてのセメスター。やっぱ大変でした。本当に"survive"って感じです。
当然全てハードですが、私にとっての大問題、英語ですよね。最初は本当に!!!????となりまくり、でも先生のキャラクターや思考がわかってくるのと平行して理解できてきた…というのと、クラスメイト(主に日本人の英語のできるお友達)から多大な援助を受け…生きて行けました。本当に友人に感謝です。
つい先日連絡が来たのですが、がんばった甲斐があり、ディーンズリスト(成績優秀者リスト)にも載ることができました。涙。ありがたい。。

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さて今期、2014spring semesterの話。
前回14creditsしかとってなかったので今回は17credits。最後のセメスターにGD3とポートフォリオのクラスだけ残す、定番のやり方です。

今とっているクラスは7つ。
・GD2…週2回のホームルーム的クラス。多岐にわたるプロジェクト
・History of Graphic Design…半分レクチャー+半分デザインプロジェクト
・Publication Design…本、雑誌のデザイン。エディトリアル
・Advanced Digital Lay out…デジタイルレイアウトの続き
・Interactive/ Web Design…webサイトのデザイン
・Silk Screen…シルクスクリーン印刷
・Letter Press…活版印刷

印象でいうとより進行スピードが早く、実践的になってきた感じがあります。
前のセメスターより、もしかしたらちょっと楽かも。というのは英語の慣れ、最初から周りに友人がいること、自分がその宿題にどのくらい時間がかかりそうか予想がつくようになった、等の理由から。クラス選びはかなり成功したなと思っています、どれも楽しい。

というか、しんどい時も無理矢理でも「楽しんでやる!」という風に持って行くように努力しています笑。先生がよく、宿題いっぱい出してニコニコしながらhave fun!というのですが、それをバカみたいにまとも受け止めて、「楽しめる範囲で思いっやろう♪」と思うことにしました。


 

 


いくつか作品を。左上は初めて刷ったシルクスクリーン。プリントラボという所でプレートもインクも自分でつくって刷ります。シルクスクリーンも技術を身につけると、かなりおもしろいことができそう!右上はGD2「何かをrememberさせるきっかけになるもの」という課題で、作者の顔が出る本のしおり(下の部分がメモになっている)をつくりました。
ウィーンのポスターはヒストリーの授業。オマージュです。下右はレタープレス。ブルックリンの工場で授業を受けています。

プロジェクトを進行させながら、同時に作った作品をまとめながらポートフォリオもつくっていけたら理想なのですが…。↓たった1ペ—ジだけ作りました笑。

ファストトラックで、今期で卒業予定の子もちょこちょこいるので、そういう子はポートフォリオももうできてきていて、刺激をもらいます。
ほんとうに、1年で、グラフィックデザイナーになるとは、、すごいコースですねAASは。。





では、春セメスター後半もがんばります!





2014-01-26

パーソンズ、ファイナルについて①/グラフィックデザイン学科専攻のNIREさん(VIP2013年卒)

お久しぶりです。
冬休み、私はNYにずっといました。

クリスマスにブライアントパークでスケートをしたり、雪の中をブルーノートにジャズ聞きに行ったり、美術館へ行ったりと楽しみました。こっちではサンクスギビング〜クリスマスが日本でいう正月のようなものみたいです。正月は1/2から働く人も多いようです。

それにしても寒すぎて(日が照ってる真昼間に−16度だったときは生命の危険さえ感じた)、1月に入ってからは基本部屋にこもって長編小説を読む…という日々を過ごし、いよいよ週明けから2セメスター目がはじまってしまいます。




今はワクワクというより「またあの忙しい日々が…」と恐怖なのですが、はじまってしまえばスイッチが入るから大丈夫と自分に言い聞かせています。

ちょうど1年前にvantanで教授達の前でプレゼンをしたことを何度か思い出しました。
たった1年でずいぶん遠くに来て、人生を変えたなあ(変わった、のではなく)と思います。作品のクオリティが変わった?かと言えば、そうでもないな…と思うんですが、自分が興味を持つ対象だったり、デザインの視野は劇的に広がりました。パーソンズで学んだことプラス、アメリカ・ニューヨークで暮らすことから感じることも大きいです。文化・言語・宗教など、グローバルに考えがいのあることがいっぱいなので、飽きないです!日本にいたら絶対に感じられないことを感じて、日本への興味もむくむく湧きます。



さて、今回は学期末「ファイナル」について書こうと思います。
ただファイナルとは言っても、グラフィックデザインの場合、テストはほとんどなく(ファッションマーケの人はほとんどテストみたいです)、最後のプロジェクトの最終提出がファイナルということになります。大体短くても1カ月以上かけて取り組む、くらいのスパンです。クラスごとに書いていきますね。

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Graphic Design1
ファイナルプロジェクト/香水のブランディング
各自に学校近くのstreetが割り当てられ、そこの道からインスピレーションを受けた香水をブランディングしていきます。例えば私の道はHudson streetというメイン通り。実際に歩いて感じたことや歴史をリサーチして、立ち上げて行かねばなりません。Hudsonは有名な女性活動家 Jane Jacobsという近代都市計画に警鐘を鳴らしたジャーナリストが住んでいたこともあり、「意思を貫き通す強さと純粋さ」をキーに、ターゲットや香りのイメージなどを作っていきました。


(作業中の画面)「強さと純粋さ」に関連して、ロゴや瓶はミニマルアートを参考に。

最終的には作り上げて行くプロセス(リサーチ→どこをpick upしたか→ブランド名・コンセプト・ターゲットなど→制作したロゴ・瓶のイメージ)を約5分のプレゼンで発表しました。



前夜から徹夜だったので気が回らずプレゼンの写真とるの忘れてました…。クラスの半分程の子が徹夜だったみたいです…おそろしや…。

ジュリアがプレゼン前に言っていたのは、プレゼンでは「思考のプロセスとアイデアの豊富さ」を見せるのだ、ということ。今の段階では最終デザインの良さよりも、そっちが大事だということです。自分の可能性を広げることが、1セメ目のすべきことなんだと思います。

このクラスはプロジェクトが全部おもしろかったし、週2回あるのでクラスメイトの個性も分かり、ともに成長していけるのが良かったです。



あと、ファイナルの前にあったプロジェクトについてはblogに書いてなかったんですが、地域の団体のトートバックのデザインをしました。



各自何案か提出して、実際クライアントが選んだものを教室で自分たちでシルクスクリーン印刷!!(楽しいということは私のポーズをみても明らかですね)
こうやって全体的にGDの仕事を広く経験できました。


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Process & Skill
ファイナルプロジェクト/インフォグラフィック
約2カ月、自分の睡眠時間やコーヒーの量などメモっておき、それをインフォグラフィーにします。やったことのないタイプのプロジェクトだったし、カッコいいグラフを作るのは本当に難しい。見た目にこだわると図としてわかりにくいし、わかりやすくしようとカッコ良くならない…という矛盾。「図から何を伝えられるか」を最初にfigure out してから作る方がいいと思います。かなり頭をつかいました。

私は睡眠時間、コーヒーの量、スケッチブックを使った枚数から、自分の1週間の平均疲労レベルを図にしました。

一番きつかったタイポの授業の前の木曜の夜が疲労MAXです。逆に土曜日は疲労回復デーだというのがこの図でわかります。





一応プロセス&スキルという授業なので、毎回やってきたところまでの作品を提出してクリティークを行います。クラスメイトからもアドバイスをもらえるのがよかったです。

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Drawing
ファイナルプロジェクト/My Story
クラス紹介の時にも書いたんですが、トム先生は「君はどんな人なの?何が伝えたいの?」ということを聞き続けていました。それがファイナルになります。何を描いたら自分の視点を伝えられるかがわからなくて泥沼にハマっていたんですが、「something you are familiar with」がいいんじゃないかといわれ、そのへんに落ちていた落ち葉を描き始めました。

20枚くらいスケッチした上で「私はこの"生命"自体をcapterしたい」と思いはじめ、どうやって描けるか悩みながら、最終的には顕微鏡で見たような、葉脈を描きました。
生きている感じを出せたと思ってます。ただの葉っぱを前にして、これを描くのは私だけの感性、それがmy storyということだったのです。














その後は「石」「水」を描きました。いずれも毎日石のこと…水のこと…を考え続け、観察しつづけ…(NYで石を持ち歩いて通学している人はかなり珍しかったと思う)。すると、何を書きたいか不思議と見えてきて、そこからどうやったら「私が感じているものを絵にできるか」になる。様々な種類の紙を試したり、インク・ペン・水彩などいろいろ使いました。写真はデータとして残せるように編集中のものです。プロセスの段階で描いたものなども入れ、全部で10ページほど作りました。かーなり大変だったんですが、Fine Artの基本(Subjectiveなものの見方)を体験できた、と感じます。あと、自分が結構「自然」「原始的なelement」「ミクロな世界」に興味があるんだな、という発見もありました。一つのものを時間をかけて描くことは、またしたいです。
こんな漠然とした課題だったのでクラスメイトの作品も様々でした。政治に関心のあるこはスローガンチックな絵を描いたり、音楽が好きなコは楽器と演奏者が合体しちゃったような絵、ファッションの子はパターンにできるような絵を。
アメリカの個性重視の教育が、ここにありました。

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あと3クラスもあるんで、一旦切って次に行きますね!