2015-03-09

インターン・授業履修へのアドバイス/グラフィックデザイン学科専攻のNIREさん(VIP2013年卒)

3月も2週目に入り、ようやく春の雰囲気が出てきたNY。
やっと氷点下の世界から抜け出せそうです。先週は大雪でした。
私的にはNYは5月と10月が最高だと思っていて、この2カ月の美しさのために数ヶ月我慢するのも仕方ないというくらい。


さてパーソンズを卒業してしまったので、終わったからこそできる現実的なアドバイスをしたいなと思います。


まずインターンについて。
私は最後・3セメ目の9月〜12月までNEW MUSEUMのエキシビションのカタログをつくるというプロジェクトで有給インターンをしていました。
先生からメールが回ってきたものに申し込み、面接をして受かったというかたち。
英語はイマイチなものの日本にいた時に雑誌の編集者だったのが有利でした。

実際に刷りおわったもの。エキシビションは現在開催中〜5/24/2015

インターンを探す時はindeedやニュースクールのcareerのページが王道ですが、公にオープンなものは応募数も多いだろうし、有給のものは特に人気があります。なので先生からのお話があるなら、それが一番だと思います。
今も先生の知り合いづたいにフリーランスのお話をもらったりしています。

インターンをどうやってゲットするかということは学生にとって常に心配の種で、学校でも「インターンしたいんだけど…」という会話もよく聞くし、後輩からも相談されたりするんですが、正直いうと、私は他の人ほどインターンを重要視していません。私がインターンもした上で思ったのは「するにこしたことはないけど、授業の方がずっと大事」ということ。これは私が既に社会経験があるから言えることですし、NYに来た目的によると思いますが。ちょっといろんな側面から比較します。


インターン VS 授業









◎お金の面
有給のインターンをゲットできたとしても大体時給$15くらい。一方パーソンズの授業料はというと、1回2時間半の授業が大体$230!インターンで少しずつ稼いでも到底返せないお金払っているんだから授業に影響でるくらいならインターンは卒業してからでいいと思う。(この計算をしていたので絶対に授業休まなかったです…)


◎実際学べること



















インターンで学べるのは、仕事がどういう風な流れでできあがっていくかをリアルに見れる経験と、作業をスピーディにこなすために必要な技です。上のカタログを例にすると、まずアートディレクターがフォーマットを決め、私がそれに沿う形で写真のセレクト(必要あらばレタッチ)、レイアウト、原稿の流し込みなどそれ以後の過程を全てするというもの。十分いろいろ学ばせてもらいましたが、とはいえ「こなす」作業です。良かったのはIn Designの知らなかった機能をいっぱい知れたこと。これはとっても役に立ち、実際に他の場でつくるもののクオリティも変わってきたかも。
インターンを例えるなら、何かものを作る時にハサミとかノリとかのToolをもらう感じ。技と経験、大事です。「雇ってもらう人」になるためには必要。
ただこれは、仕事を始めたらいずれ学べることだと思います。そしてToolばっかり持っててアイデアのない人はただの便利屋になってしまう恐れもあります。

一方学校では実社会とは関係のない所にあるクリエイティビティのほうが好まれるかもしれません。自分の表現の仕方を掘り下げ、可能性をひろげること。「技」より「考え方」を練習させられるかんじです。
「こなす」のではなく「消化し、生み出す」時間のかかる作業。
この土壌を耕すような練習は仕事を始めたら忙しくてなかなか取り組めることではないです。
学生だからクライアントやマーケットも関係なくできるデザインがあって、そういうものの方が良かったりする。ものを作る人同士はそういうことをよくわかっています。

最近前職の出版社で尊敬していた編集長と久々に連絡を取ったのですが「とんがっててね」と言われて。ああ、ものを作る人が言うことだなあ、こういう上司が最高だなあと思ったのでした。そういう人の元で働けるのなら別ですが、一般論ではクライアントのある仕事においては、差し障りのないクリエーションになりがちです。


半年先に仕事をゲットしていたい、と焦るからインターンしなきゃと思うんですが、10年先にやっていたい仕事のことを考えると、自分の可能性を広げておくことは有意義です。
インターンという「経験」を望む気持ちも分かりますが、一度社会に出た人間からすると、学校で学ぶという方が得難く貴重な経験です。どうせこのあと一生働きますし。焦らずに。




◎コネをつくるという点
もちろんインターン先で素晴らしい出会いはあると思います。ただParsonsの教授をやっている人より社会的にも地位があるデザイナーってそうはいないです。先生とコネを作るのがベストでは? それなら授業をがんばって信頼関係を築くのが大切です。



但し、ここまで書いておいてなんですが、「OPTの後もNYに住む」というのが優先順位1位の人にとっては、とりあえず「雇われやすい人」になっておく必要があるので、働くことの重要度はグンと上がってくると思います。あと作ることよりビジネス指向の人も。2セメ目の終わりかけくらいの時期にNYでの目的に順位を再設定すると良いかもしれません。




———————————————————————————


授業履修について

1〜3セメの時間割です。参考になれば。


私が授業が有意義だと思えたのは、注意深くクラスを選んでいたからだと思います。いいクラスを選ぶのも自己責任です。「この授業がおもしろくない」「先生がよくない」という愚痴は不毛です。不安があれば最初の授業で見極めてクラスを変えるべき!
ちゃんと何を基準に授業を選ぶかの決めて、緊張感を持つ方が吉です。

私の場合1セメ目の基準は、クラスの時間帯と先生の評判。

パーソンズAASの授業枠は2015年spring semester現在
1コマ目:9時〜11時40分
2   :12時10分〜14時50分
3   :15時50分〜18時30分
4   :19時〜21時40分      です。


Graphic Designとかタイポグラフィなど必須の授業は大体3、4コマあり各定員が15-18人ほど。早いもの勝ちなので人気の授業から埋まっていきます。とにかく履修登録が始まる前からリサーチして始まったら即刻レジスターしましょう。


1セメ目は慣れるまでに時間がかかるるだろうと思い、朝型の生活を保つため、夜19時〜の授業は選択肢にいれませんでした。1日に2つ以上はとらない、英語が不安なので講義系の授業は2セメ目以降にまわす、と決め14単位にしました。

先生の評判はRate My Professorというサイトで見たり、ParsonsのHPに掲載されている先生の説明を読む+ポートフォリオを確認し本当に良さそうか要チェックです。
先生のことを嫌いになったり舐めだすと絶対いい学びにはならないので、このリサーチは絶対した方がいいと思います。
でも1セメ目に関しては私は2つの授業は失敗しました。先生のことを尊敬できず適当にやったり逆に無駄に苦労したり。
その失敗をもとに、2学期からは先生を優先順位1位にしました。


2セメ目、先生や友人、先輩にオススメの先生を聞きまくって決めました。先生がほめる先生は間違いがありませんし、パーソンズAASで長く教えている先生は安定感があります。
その中でも
A. 絶対とりたい授業 B.とっておいた方がいい授業 C. 犠牲にしてもいい授業
とランク付けします。とりたい授業が同じ時間にあったり、オンラインしか選択肢が残っていないこともあるからです。
この結果、月〜土まで毎日1(or 2)クラスずつ+1クラスはオンライン=計17単位。
日曜しか休みなし、という、結構極端なスケジュールになりましたが、このスケジュールが私にはとても合っていて、毎日淡々とやることができました。また夜7時からのクラスが朝9時からより体力的に楽だとわかりました、夜型人間なので。


3セメはシンプルに2セメ目までの良かった先生の授業を再度とり、プラスその先生の助言に従って他の必須科目をとりました。卒業に必要な単位より6単位ほど多くなりましたが、取ってよかったです。


厳しい先生、優しい先生、コンセプトを大事にする先生、技術を教えるのがうまい先生、評判が良くても自分には合わない先生、人気なくても自分には合う先生…いろいろいますが、この人から学びたいと思える人を選ぶのが大事です。ここを見ている人でAASグラフィックに進む予定の人は、知っている限り教えるのでぜひ聞いてください。




人それぞれ目的が違うので一概には言えないですが、以上が私が思う切実なアドバイスです。